「イスラームから見た『世界史』@タミム・アンサーリー」を読みました。
イスラームから見た「世界史」
と言う本を読みました。
作者のタミム・アンサーリーと言う人はアフガニスタン出身でアメリカ在住の作家だそうです。アフガニスタンの首都カーブル(カブールと日本では耳にしますが、カーブルが正しいそうです。以後地名は本書での訳の通りに記載します。)近くの町で育ち、奨学金を得てアメリカの高校に進学、大学も出て教科書執筆に携わるようになったそうです。
元々この本を読んだきっかけは池上彰・佐藤優両氏の
「大世界史 現代を生きぬく最強の教科書」
の中に記載があり興味を持ったことでした。
イスラムは今日世界の大きなテーマですが、日本人には関わりが薄く一言で言えばよく分からないと言うのが正直なところなので、何か概説みたいなものを読みたいと思っていたところにぴったりはまりそうだなと読んでみました。宗教ではなく歴史の本なので読んでみようと思ったのでしょう。
これが700ページ近くになる分厚い本で、読み始めた当初は読み切れるか心配でしたが、段々引き込まれていきました。
まずインダス川からイスタンブルに及ぶ地域全体を「ミドルワールド」と名付け古代のメソポタミア文明から話が始まります。ゾロアスター教、キリスト教、ササン朝ペルシア、ビザンツ帝国を経て預言者ムハンマドの誕生に至ります。
このムハンマドから第4代までの正統カリフの時代に大きな紙数が割り当てられています。そしてこの時代の話こそが現代を理解する上でも重要だと思います。
その後「・・・朝」と言ういくつかの王朝の時代が続き十字軍、モンゴルの襲来、西欧諸国の進出、近代、現代に至ります。
世界史というと日本、中国、西洋から見た世界史が日本人が思い浮かべるものだと思いますが、イスラムから見た世界史と言うことでいろんな点でなるほどと思うところがありました。自分の知る世界史のすっぽりを抜けている部分でした。
イスラムとは宗教であると同時に創始された当初から政治的な存在であるということにそうだったのか、と思いました。第2章「ヒジュラ」(マッカからマディーナへの移住)の中でヒジュラ以前のムハンマドはここの信者を導く説教師にすぎなかったのがヒジュラ以後は法律、政策、社会生活の指針などについて彼の裁定を仰ぐ共同体の指導者となったとありました。
現在イスラム諸国においては政教一致の国も多く日本人から見れば違和感を感じますが、そもそもイスラムそのものが単なる宗教であるだけではなく、「政治・経済の運営方法を規定する理念であり市民法と刑法の体系であり、中国文明・西洋文明などと同じく芸術、哲学、建築、手工芸品に至るまで人間の文化的な営みを内包しているから文明であり、一つの世界史の物語でもある」、と言う作者あとがきがイスラムとは何かを語っているように思います。
仏教、キリスト教などと並べてイスラムを一つの宗教と思うから違和感があるのであって、政治、法律など広い分野を含むのがそもそもイスラムなのだ言うのが本書で初めて理解できました。
本書を読み現在の中東の混乱に至る歴史が理解できたような気がしました。イギリスを初めとする植民地を抱えていた時代の西欧諸国のえげつなさ、第1,2次世界大戦前後のイギリスや冷戦時の米ソ、現代に至るアメリカの行動の影響の大きさを感じました。
日本人としては明治日本が列強の植民地にならず近代化をなしたことに明治日本人は凄いなと思ったりもしました。
わずか1冊ですがイスラムを理解する大きな1冊でした。分厚いですが、読みやすく書かれてあってイスラムとは何かが気になる人には非常におすすめです。
作者のタミム・アンサーリーと言う人はアフガニスタン出身でアメリカ在住の作家だそうです。アフガニスタンの首都カーブル(カブールと日本では耳にしますが、カーブルが正しいそうです。以後地名は本書での訳の通りに記載します。)近くの町で育ち、奨学金を得てアメリカの高校に進学、大学も出て教科書執筆に携わるようになったそうです。
元々この本を読んだきっかけは池上彰・佐藤優両氏の
「大世界史 現代を生きぬく最強の教科書」
の中に記載があり興味を持ったことでした。
イスラムは今日世界の大きなテーマですが、日本人には関わりが薄く一言で言えばよく分からないと言うのが正直なところなので、何か概説みたいなものを読みたいと思っていたところにぴったりはまりそうだなと読んでみました。宗教ではなく歴史の本なので読んでみようと思ったのでしょう。
これが700ページ近くになる分厚い本で、読み始めた当初は読み切れるか心配でしたが、段々引き込まれていきました。
まずインダス川からイスタンブルに及ぶ地域全体を「ミドルワールド」と名付け古代のメソポタミア文明から話が始まります。ゾロアスター教、キリスト教、ササン朝ペルシア、ビザンツ帝国を経て預言者ムハンマドの誕生に至ります。
このムハンマドから第4代までの正統カリフの時代に大きな紙数が割り当てられています。そしてこの時代の話こそが現代を理解する上でも重要だと思います。
その後「・・・朝」と言ういくつかの王朝の時代が続き十字軍、モンゴルの襲来、西欧諸国の進出、近代、現代に至ります。
世界史というと日本、中国、西洋から見た世界史が日本人が思い浮かべるものだと思いますが、イスラムから見た世界史と言うことでいろんな点でなるほどと思うところがありました。自分の知る世界史のすっぽりを抜けている部分でした。
イスラムとは宗教であると同時に創始された当初から政治的な存在であるということにそうだったのか、と思いました。第2章「ヒジュラ」(マッカからマディーナへの移住)の中でヒジュラ以前のムハンマドはここの信者を導く説教師にすぎなかったのがヒジュラ以後は法律、政策、社会生活の指針などについて彼の裁定を仰ぐ共同体の指導者となったとありました。
現在イスラム諸国においては政教一致の国も多く日本人から見れば違和感を感じますが、そもそもイスラムそのものが単なる宗教であるだけではなく、「政治・経済の運営方法を規定する理念であり市民法と刑法の体系であり、中国文明・西洋文明などと同じく芸術、哲学、建築、手工芸品に至るまで人間の文化的な営みを内包しているから文明であり、一つの世界史の物語でもある」、と言う作者あとがきがイスラムとは何かを語っているように思います。
仏教、キリスト教などと並べてイスラムを一つの宗教と思うから違和感があるのであって、政治、法律など広い分野を含むのがそもそもイスラムなのだ言うのが本書で初めて理解できました。
本書を読み現在の中東の混乱に至る歴史が理解できたような気がしました。イギリスを初めとする植民地を抱えていた時代の西欧諸国のえげつなさ、第1,2次世界大戦前後のイギリスや冷戦時の米ソ、現代に至るアメリカの行動の影響の大きさを感じました。
日本人としては明治日本が列強の植民地にならず近代化をなしたことに明治日本人は凄いなと思ったりもしました。
わずか1冊ですがイスラムを理解する大きな1冊でした。分厚いですが、読みやすく書かれてあってイスラムとは何かが気になる人には非常におすすめです。
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