「TIGER MOTHER@エイミー・チュア」を読みました
「TIGER MOTHER」と言う本を読みました。作者のエイミー・チュアという女性はイェール大学法科大学院教授、両親が中国人の移民でユダヤ人の夫(同じくイェール大学法科大学院教授かつ推理小説作家)と結婚したという人物です。この本は昨年アメリカで刊行された際には新聞、テレビ、インターネットなどで大論争となったらしいです。
自分自身の子育てを書いた本なのですが、欧米式の自由放任な子育てに対して中国式の厳しい子育て(だから“虎”なわけですね)を2人の娘に対して行い、生まれてから現在までの過程について書いてありました。
日本人の自分から見ても厳しいなあと思うところが多く、1番でないとダメだとしたり、友達づきあいの制限があったり、長女はピアノ、次女はバイオリンのスパルタ式の音楽教育を施したり、旅行に行っても毎日練習があったりと凄いなあと思いました。
長女の方がそれなりに従ったのし対して、次女は反発することが多く最後の方ではモスクワ旅行では赤の広場で大げんかをしてバイオリンの練習を減らしてテニスをすることになったりします。
主に音楽教育がメインになっていますが、飼い犬の話や夫婦の家族をおそう重病などいろいろなエピソードがつらなり、最後まで興味が尽きることなく読めました。
厳しすぎる子育て、と思わせながらこの本の肝は欧米式子育てへの疑問にあると思います。自主性に任せる、子供の意志の尊重という結果子供があまり成功しない、子供との関わりが薄く大人になって親を大切にしなくなる、こういう批判を作者はしています。
親が子供のことを真剣に考えて真摯に向き合い、その結果厳しくなると言うのがこの「TIGER MOTHER」なんだと思います。実際子供のことを考えたり子供につきあう時間というのは普通の親子よりも非常に長いです。
訳者が齋藤孝氏で、訳者あとがきが短いながら非常に良くまとまっているのも良かったです。まず日本人の子育ては欧米式と東洋式の中庸を見つけようと言うことが書かれてあります。日本の教育が欧米式の影響を受けて強制しなくなった結果、子供の学力低下、国力の衰退の衰退をまねいたと言う現代日本への批判と、古来から日本にある「型の教育」ー反復練習で大切なことが身に付くーへの再評価とまとめてあります。
まあ何が正しいのかなんて世の中わからないものですが、いろいろと考えさせる良い本でした。